こんにちは!Kenです。
本日もちょっとだけ日々を豊かにする、『厳選ビジネス洋書』をご紹介していきます。
今回ご紹介するのは、
Chip & Dan Heath 著
『Switch : How to Change Things When Change Is Hard 』 です。
先日ご紹介した、『Made To Stick』を記したのち、
Chip& Dan Heath 氏達は、
どうすれば人の行動は変えられるのか?
という問題に取り組み始めました。
結果得られた最も興味深い洞察は、
「『専門知識』だけでは、決して行動は変わらない。」
ということです。
この世は、経済的に困窮している経済評論家や、
離婚寸前の結婚カウンセラーであふれています。
また、起業に関する知識を詰め込めば、
学者やコンサルタントにはなれるかもしれませんが、
実際に成功する起業家になれるかどうかは、
全く持って、別問題です。
この知識と実際の姿のギャップを埋めるために、
著者らは、次の3つの要素に注目しました。
1つ目は、脳の理性的側面、
2つ目は、脳の感情的側面、
3つ目は、環境的側面です。
それぞれに関する詳しい解説は本書をご覧いただくとして、
今回は、私がグッときたポイントをざっくりとご紹介してきます。
①分析麻痺を防ぐために、変化させるのは具体的な行動1つに絞ること。
「自分の行動を変えたい!」
「部下の行動を変えたい!」
と思った時に、気をつけなければならないことが、
変化させる内容を、抽象的にしてはいけない。
ということです。
脳には、理性的に感情をコントロールする機能があります。
具体的には、人類史上ではできたばかりの、
『新皮質』と呼ばれる部分が、それを担っています。
この器官は、考えることを好み、
置かれている状況をあらゆる方面から分析しようとします。
複雑な問題について考える際には非常に役に立つ反面、
自分の行動を変えたい!
と思った時には、負の効果が現れる場合があります。
それは、
曖昧なゴールを与えられてしまった場合です。
理性的な脳は目標を達成するために選択可能な、
数百の選択肢について思いを馳せはじめ、
結局、何一つ行動を起こさないという、
『分析麻痺』 を起こしてしまうのです。
例えば、あなたがより健康的な食事をとりたいと考えたとします。
もしあなたが、コーヒーが好きで必ず砂糖を入れているのであれば、
おそらく最初の行動目標は、
『コーヒーを砂糖なしで飲む』が効果的だと思います。
ここで、例えば、『もっと健康に食べる。』
といった曖昧な行動目標を設定してしまったとすると、
『健康な食事』を満たす選択肢はたくさん溢れていますから、
結局、分析麻痺を起こして、
なんの行動も起こさずに終わってしまいます。
私自身、分析麻痺には思い当たる節がたくさんありますが、
あなたはどうでしょうか?
曖昧な目標を立てた結果、分析麻痺が生じることは、
人間の自然な性質だと、著者は述べています。
逆に、
ただ単に、変化のための行動目標を、
これでもかというくらいに具体的にするだけで、
最悪の結果である、『結局、何もしない。』
を防ぐことができます。
結論:『分析麻痺』を防ぎ、確実に良い行動を起こすために、
望む変化につながる行動目標を、
徹底的に、具体化しましょう。
そして、最初は必ず1つに絞りましょう。
②感情を動かす工夫をすること。
行動目標を1つに絞ることができたら、
次は、感情を動かす必要があります。
人が行動を起こし、継続するためのエネルギーの源泉は、
論理ではなく、感情です。
感情は論理を超えます。
だからこそ、私たちは体に悪いと分かっていても、
夏の暑い日にコンビニに入ると、
ついアイスを買ってしまうのです。
この感情のパワーを良い方向に活用しましょう。
例えば、喫煙を辞めたいと思った時に、
自分自身にタバコを辞めるメリット、
例えば、お金の節約や健康について言い聞かせても、
大して行動を変えることはできません。
その代わりに、自分のドス汚れた黄色い歯の写真を、
よく目に見えるところに貼り、
毎日眺めた方が得策です。
強烈に、タバコを吸う自分へのネガティブな感情を喚起することで、
行動を変化させることができるはずです。
ポジティブな感情よりもネガティブな感情の方が、
明らかに問題がある場合にはよく働きます。
ショック、怒りなどが、人を行動に駆り立てるのです。
ただし、取り組む問題が複雑な場合、
むしろ、ポジティブな感情に光をあてることで、
脳がよりクリエイティブになり、
思わぬ問題解決アプローチを思いつける可能性がある、
と著者は述べています。
結論:行動を変えるには、論理よりも感情です。
望む変化を起こすためになんとか工夫して、
感情を利用しましょう。
③変化に適した環境を整ええる。
ここまで、理性、感情へのアプローチについて述べてきました。
ひょっとすると、この二つの組み合わせだけでも、
かなり良い変化が期待できるかもしれません。
ただ、私たち人間は、自分がイメージしているよりもずっと、
環境に行動を左右されてしまう生き物です。
ある研究をご紹介します。
この研究では、参加した学生をアンケートで、
いい奴評価が高いグループと、
悪い奴評価が高いグループに二分し、
それぞれに、チャリティ活動を依頼する手紙を送って反応を測定しました。
まずそれぞれのグループの半数に、
「キャンパスの人気スポットに寄付用の食べ物を持ってきてくれないか?」
という曖昧な手紙を送ったところ、
いい奴グループの8%は実際に行動を起こし、
人気だと言われるスポットに食料を持ってきました。
一方、悪い奴グループは、ただの1人も行動を起こしませんでした。
次に、残りの半数に、
「豆の缶詰を、添付の地図に示したところに持ってきてくれないか?」
という指示が明確な手紙を送ったところ、
悪い奴グループのうち、なんと25%が実際に行動を起こし、
豆の缶詰を指定された場所に持ってきました。
具体的な指示がある状況下では、
曖昧な指示を与えられたいい奴の3倍もの悪い奴が行動を起こしたのです。
つまり、より行動を起こしやすい環境を構築することで、
理性・感情へのアプローチだけ行う場合よりも、
ずっと簡単に変化への行動を起こすことができます。
あなたがもし、コーヒーに砂糖を入れたくなければ、
そもそも、一切家に砂糖を置かないようにしましょう。
結論:どんな行動の変化を起こしたいかに関わらず、
行動変化に最適な環境をデザインすることは可能です。
最適な環境の構築によって、
より、簡単にあなたに必要な行動を起こしていきましょう。
まとめ
まとめになりますが、
行動を変えたいのであれば、
変化させる行動をクリティカルで具体的な1つに絞ることで、
分析麻痺を回避しましょう。
また、工夫して感情のスイッチをOnに保ち、
変化に最適な環境を構築しましょう。
本書には今回ご紹介した内容の他にも、
・ブライトスポットとは何か、そして、それを見つけることが、なぜ重要なのか?
・なぜ、あなたの象は、小さな丘を登るごとに強力になるのか?
などなど、興味深い内容が満載です。
万が一、あなたが今、
「変えたい行動があるのに、変えられない。」
という悩みをお持ちの場合、ぜひご一読されることをオススメいたします。
本書は私がこれまで読んできた行動変容に関する書籍の中でも、
最強に類するものです。
ぜひ、お試しください。