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成功は本当に ”自分の力” で手に入れるものなのか?

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成功は本当に ”自分の力” で手に入れるものなのか?

こんにちは!Kenです。

本日もちょっとだけ日々を豊かにする、

『厳選ビジネス洋書』をご紹介していきます。

今回ご紹介するのは、

Malcolm Gladwell 著

『Outliers』 です。

皆さんは、『1万時間の法則』 という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?

何事も1万時間以上練習すれば、

トップクラスの実力者になれるという法則です。

これは、週40時間練習すると、

5年間で実力者の領域に達することを意味します。

実際には、ただの練習ではダメで、

アンダース・エリクソン氏が提唱する、

『集中的訓練』 が必要になり、

この訓練は、一日最大でも4時間が限界だとされているので、

最短で見積もっても、トップクラスになるには10年近くかかってしまいます。

詳細は、先日ご紹介した『PEAK』の解説をご覧ください。

グラッドウェル氏は、このエリクソン氏の研究を調べて、

『1万時間の法則』 を本書で世に知らしめました。

「じゃあ、この本は一生懸命に練習すれば、報われる!という本なの?」

と思われるかもしれませんが、

残念ながら、本書の内容は全くの逆です。

本書は、”自分の力で成功した。”という表現はひどい嘘だとし、

偉人たちは、”自分の力” 以外の多くの外部要因がなければ、

成功はおぼつかなかったことを論証した本になります。

今回は、中でも残酷な次の3つの要素についてご紹介します。

①”自分の力”が臨界点に達した後の成績は外部要因で決まる。

②成功は、自分ではコントロールできない偶然のタイミングに少なからず左右される。

③出自が成功に与える影響は大きい。

では見ていきましょう。

①”自分の力”が臨界点に達した後の成績は外部要因で決まる。

もし、”努力が必ず報われる” なら、

適切な練習を積めば積むほど、スキルが高まり、

それに比例して良い結果が得られるはずです。

しかし、研究で明らかになったことは、

一旦、スキルが閾値を超えると、それ以上のスキルの向上は結果にさほど影響しない。

ということです。

あるロースクールの例を見てみましょう。

そのロースクールでは、

マイノリティの生徒の合格ラインを下げています。

適切な学習環境になかったマイノリティの子供にチャンスを与えるためです。

当然マイノリティ枠で合格した生徒は、

一般生徒よりも学習量(練習量)が少ない状態で入学することになるため、

入学時、在学中の成績で、一般生徒よりも劣っています。

しかし、このギャップは、

卒業後、跡形もなく消えてしまいます。

統計を取ると、

マイノリティの生徒も一般生徒も、

卒業後は、

法律家として社会に同レベルの貢献をして、

同程度の報酬と、名誉を得ていたことが分かったのです。

なぜか?

それは、法律家としてのスキルが閾値に達すると、

つまり、ロースクールを卒業できる法的スキルを培ったら、

後は、

どれほど良いネットワークを築けるか?

どれほど、運がいいか?

などの、法的スキル以外の要素によって、

結果の大部分が決まるからです。

”閾値” の存在は、スキルだけではなく、

生まれ持った才能にも言えます。

例えば、1980年代、

NBAのバスケ選手の、平均身長は約200cmでした。

200cmまでは、身長と成績とに、相関が見られたのです。

しかし、200cm以上の身長、

例えば、210cmの身長を持っていたとしても、

200cmの選手と比べて、成績に違いは見られませんでした。

結論:”自分の力” が臨界点に達した後の成績は、

自分ではコントロールできない外部要因で決まります。

当然、自分の力を高め維持し続けるために、努力は必要ですが、

後の結果は、自分にはコントロールできないことだとして、

健全に割り切っていきましょう。

②成功は、自分ではコントロールできない偶然のタイミングに少なからず左右される。

突然ですが、あなたは小学生のような中学生を見たことはありますか?

え、この子、あの子よりも2歳も年上なの?

というやつです。

もしかすると、その子は早生まれなのかもしれません。

身体が成長する20歳までは、

1年間の差が非常に大きな意味を持ちます。

先日、中学生と話す機会がありましたが、

彼は、なんと1年間で13cmも身長が伸びたそうです。

スポーツの世界では、

1年間の成長の差が大きなアドバンテージやディスアドバンテージになると分かっています。

グラッドウェル氏は、

カナダのプロホッケー選手の生まれ月について調べました。

結果、分かったことが、

1〜3月生まれの選手は、

10〜12月生まれの選手の、

2倍もいるということです。

なぜか?

それは、ユースチームの年齢区分が1月1日開始だからです。

これは、12月に生まれた子供が、

ほとんど1歳年上の子供達と比較されることを意味しています。

ホッケーにおいて、

8歳の子供が、9歳の子供に立ち向かうのは非常に困難です。

体の強さ、スピードの成長に1年分の差があるからです。

結果、注目選手が、1〜3月生まれの選手に集中してしまうと考えられます。

生まれるタイミング は非常に重要です。

投資の天才、ウォーレン・バフェット氏は次のように述べています。

 

「現代のアメリカに生まれることができてよかった。

もし、自分が数千年前に生まれていたら、

私は、遺伝子上の特性からして、

肉食動物のランチになっていただろう。」

 

現代のフォーブスリストでトップ10入りしている富豪も、

石器時代のフォーブスリストでは、

最下位近辺だったかもしれないのです。

結論:成功は自分ではコントロールできない、

”偶然のタイミング” に少なからず左右されています。

もし、あなたが成功を収めているのであれば、

謙虚でありましょう。

③出身地が成功に与える影響は大きい。

出身地が成功に与える影響について、

グラッドウェル氏は、

『アジア人が数学に強い理由』

を題材に考察しています。

同氏の考える、アジア人が数学に強い理由は2つです。

1つ目は、教育の順序です。

アジア人は数字の数え方と同時に足し算を学ぶため、

早くから、計算に慣れ親しむことができると述べています。

2つ目は、文化的土壌です。

アジア人は稲作文化の積み重ねによって、

忍耐の文化が醸成され、

それが、数学の難問と向き合い続ける、

忍耐力につながっていると述べています。

ヨーロッパで主流の小麦やトウモロコシと違い、

米を育てるのは大変です。

高い正確性、統率、協働、忍耐を必要とします。

それだけではなく、

アジアの米農家は、自分で作った米を全て自分の財産にすることができました。

一方ヨーロッパの農家は強欲な地主や貴族に、

育てた作物の大部分を持って行かれるため、

少しでも多くの作物を育てようというモチベーションが湧かない状況でした。

つまり、緻密に計算し、より多くのリターンを得ようとする文化が育たなかったのです。

数学だけではなく、生まれた土地の文化的背景によって、

成果が変わるものはたくさん存在しています。

そしてそれは、明らかに”自分の力”の範囲外です。

結論:出身地 というコントロールできない要素が成功に与える影響は極めて大きいです。

逆に言えば、あなたが子供を育てる立場にあるのであれば、

つけさせたい能力を得るために、最適な環境を選び取ることが有効かもしれません。

まとめ

まとめになりますが、本書は、

いかに私たちが 「”自分の力” が成果に与える影響」を大きく見積もり過ぎているのか、

様々な研究データとともに、明朗に論証している名著になります。

今回ご紹介した内容の他にも、

・1万時間の練習を実践したら、後の成功は何で決まるのか?

・実践的知能とは何か?

・3人のソフトウェア富豪が同い年という、偶然の一致はなぜ起きたか?

などなど、”成功”と努力以外の要素の関係性 について、詳細に論考されています。

当然、努力は、結果を出すためにも、精神衛生を整えるためにも、非常に重要な要素です。

しかし、

万が一、あなたが今、

「努力しても、結果が出ず、精神的に非常に苦しい。」

「努力は報われないのか?」

という心境になっている場合、

ぜひご一読されることをオススメいたします。

本書の読了後、

精神的ダウンサイドを避けつつ、

適度な距離感で、『努力や才能』 と向き合えるようになるはずです。

翻訳版を読んでみる。

  • この記事を書いた人

Ken

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