こんにちは!Kenです。
本日もちょっとだけ日々を豊かにする、『厳選ビジネス洋書』をご紹介していきます。
今回は前回に引き続き、がVictor Cheng 著『Extreme Revenue Growth』をご紹介していきます。
前回は、
まず、前提知識として、ビジネスには、
創業期、成長期、拡大期 と呼ばれる段階があること、
そして、創業期には、
とにかく『収益成長源(Revenue Growth Engine)』を創ることに集中すべきであり、
この収益成長源は、
①自身の問題を認識している対象顧客
②顧客に対して企業が取り交す約束
③対象顧客にリーチし、取引するための流通チャネル
④約束を果たす製品、あるいは、サービス
⑤長期的に維持可能な競合優位性
以上、5つの要素で構成され、
それぞれの要素を最適化することで、
成長のために再投資可能なキャッシュフローの構築が実現できるということでした。
今回は、成長期、拡大期に集中すべきポイントについて解説していきます。
前回もお伝えしましたが、本書は翻訳版が発売されていないため、
今回の解説を足がかりにして、洋書にチャレンジいただければと存じます。
Contents
②成長期の注力ポイント
成長期に最も注力すべきなのは、拡張性のあるビジネスシステムを構築することです。
拡張性のあるシステムとは、
取引量が10倍になったとしても、問題なく価値を提供できるような仕組みのことです。
当然テクノロジーやハードウェアだけではなく、
人材のマネジメントも重要になります。
そして、システムを拡張可能にする鍵は、
取引量が増えた時に真っ先に破綻する弱点から、
順々に問題を解決していくことです。
制約理論(TOC)で述べられている通り、
全体の収益は、システム上で最も弱い部分に制約されます。
成長期に必要なのは、強みを伸ばすことではなく、
システム上の弱み(ボトルネック)を発見し、取り除くことなのです。
先述の通り、
「取引量が10倍になった時に、破綻する部分はどこか?」
という質問の答えを考えることが、鍵となります。
また、「ビジネスシステム」 という言葉はイメージがしにくいと思いますので、 ここでジョシュ・カウフマン氏の 『The Personal MBA』 で紹介されていた、 シンプルなフレームワークを参考に私なりに定義しておきます。
同氏曰く、ビジネスの構成要素は突き詰めると次の5つに帰結します。
それは、
①Value Creation (価値創造・製品開発)
②Marketing (マーケティング)
③Sales (セールス)
④Value delivery (納品)
⑤Finance (予算管理)
です。
これら5つの要素について、自社の作業プロセスはどうなっているのか具体的に文字で説明したもの、
それがビジネスシステムになります。
以上のような、文字に落とされたプロセス(ビジネスシステム)を持つことで、
どんな人がそのポジションにアサインされても一定以上の成果を上げることができるようになります。
いわゆるオペレーションの平準化です。
もし、人によってやり方がバラバラになってしまっているのであれば、
システムが存在していないか、機能していないことになり、
取引量が増えた場合に、その部分を起点にしてビジネスが崩壊していきます。
結論:成長期にどれだけ成長できるかは、
文章化された、リピート可能な、継続的に改善されるプロセス(ビジネスシステム)をいかに構築できるかにかかっています。
再投資可能なキャッシュフローができた時点で、
このビジネスシステムの構築、及び強化に全力を注ぎましょう。
③拡大期の注力ポイント
拡大期に最も注力すべきなのは、事業ポートフォリオと、人材のマネジメントです。
1つの収益成長源を成長させることができ、拡大期に入っても、
CEOが、決して他者に委譲すべきではない3つの役割があります。
それは、
①事業ポートフォリオ(複数の収益成長源)のマネジメント
②採用、部署移動による人材のマネジメント
③チームに結果責任を持たせ続けること
の3つです。
中でも事業ポートフォリオのマネジメントは最も重要で時間がかかる作業ですが、
著者曰く、ほとんどのCEOは、これに十分な時間をかけないそうです。
具体的には次の4つについてもっと頭を悩ませるべきだといいます。
①どの新規プロジェクトを承認し、予算付けするか?
次の5つの構成要素の精度の高さに目を光らせる必要があります。
①ターゲットカスタマー
②顧客に対する約束
③流通チャネル
④製品
⑤競合優位性
ほとんどのハイテク、インターネット企業が陥りがちな問題が、
製品の重要性に重点を当て過ぎていて、
他の要素に十分に投資できていないことです。
顧客が購入するまでは、製品の質など認知されることなく、
ただ一つ認知されるのはマーケティングの質であることを、
強く意識して、プロジェクトを承認する必要があります。
②どのROIの低いプロジェクトを停止すべきか?
意識すべきは、そのプロジェクトを維持した場合に、
全体のポートフォリオの想定ROIがどのように推移するかです。
他のプロジェクトにまで悪影響をもたらすプロジェクトは停止する必要があります。
③現在のリソースや制約条件からするとどんな順番でプロジェクトを推進すべきか?
ここで鍵となるマインドセットは、
できる限り多くの収益成長源を持つことではなく、
もっともシンプルなポートフォリオで収益目標を達成することです。
最短、最小の労力で、収益目標を達成するためのロードマップを描きましょう。
④プロジェクト毎の依存関係はどうなっているか?
例えば、
A事業(最初の収益成長源)で創出したフリーキャッシュフローを、
B事業(新たな収益成長源)に投下する必要があるか?
そして、この依存関係は上記3つの決断にどのように影響を与えるかを考え、投資配分を決定する必要があります。
また、人材マネジメントは事業の継続的成長の源泉です。
適切な実行チームを集める鍵は、自分を知ることです。
あなたの強みを促進し、
弱みとなる部分をカバーする人材を集めましょう。
そして人材の質を見極めるポイントは、彼らの目標がどこにあるかです。
B級プレーヤーは、アサインされた活動を『完了』させることに焦点を当てます。
一方でA級プレーヤーは『結果』を出すことに集中します。
ここからは日本企業にはあまり相容れない考えかもしれませんが、
人事のコツを4つだけ紹介しておきます。
①チームの質を保つために、下位10%〜20%を毎年クビにすることを検討すること。
事業成長に合わせて当然必要な人材が変わるためです。
②採用活動は、必要ポジションに求める結果を明確にしてから始める。
ジョブディスクリプションを書く代わりに、リザルトディスクリプションを書きましょう。
③あなたが必要とする結果に必要なスキルと知識を常に明確にしておく。
必要な人材と出会ったときに物にするセンサーを張り巡らせましょう。
④決して集まった人材の中から最高の人材を採用するのではなく、100%条件に見合った人材を採用しましょう。
やっぱり、日本の状況では適用が難しいかもしれませんね。
最後にチームには必ず結果責任を求める必要があります。
決して活動ではなく、結果に責任を求めなければなりません。
時間通りに正しく結果が出されるようにするための4ステップの責任システムを紹介します。
① 企業全体の収益ゴールを明確にする。
②それぞれの事業(収益成長源)から期待される収益貢献を定義する。
③それぞれの収益目標に対して、責任者を一人アサインする。
④毎月、鍵となる数値を計測して、テコ入れを図る。
結論:収益を最大化するプロジェクトの優先順位づけ、
結果責任を追求する姿勢で、
企業規模の拡大に成功しましょう。
番外編:もし、既存の事業を極端に成長させたいなら、何から始めるべきか?
最後に、更なる企業成長に向け、ジャンプスタートを切るための3つの戦略をご紹介します。
戦略①:大きく考える。
そこそこでいいやという自分の思考を改善しないことには、
チャンスが見えるようになりません。’
戦略②:収益成長のボトルネックを特定し、資源を集中し、改善する。
TOC(制約理論)に則り、
まずは現在のビジネスシステムの弱点を発見し、
その改善に集中的に取り組みます。
戦略③:現在あまり利用されていない資産を見つけ、最大限活用する。
自分が見過ごしているソフトアセット、
ハードアセットがないか考えましょう。
既存の資産からのリターンを最大化することが、
最も早く収益を上げる方法です。
今日も良い1日を!
以上、最後までご一読いただきありがとうございました。
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それでは、今日も良い1日を。