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ドーナツ・モデルが持続可能な社会を実現する。

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ドーナツ・モデルが持続可能な社会を実現する。

こんにちは!Kenです。

本日もちょっとだけ日々を豊かにする、『厳選ビジネス洋書』をご紹介していきます。

今回ご紹介するのは、Kate Raworth 著

『Doughnut Economics: Seven Ways to Think Like a 21st-Century Economist 』 です。

 

本書は、経済成長だけを追い求めるような、従来型の経済モデルにに待ったを書ける本です。

現在、世界を結びつけている共通の目標はGDPの成長です。

GDPが成長し続けさえすれば、

富の再分配が生じ、格差が是正され、

みんなが豊かに暮らせるようになる、

という神話を基に、経済活動が行われているわけです。

しかし、現実にはこのままGDPの成長だけを追い求めても、

格差が拡大し、さらには地球環境が崩壊してしまう可能性が高い、

ということが、あちこちで論じられるようになってきました。

著者のケイト氏は、オックスフォード大学の経済学教授で、

21世紀の経済にはアップデートが必要だとして、

経済成長だけではなく、格差の是正や地球環境の維持も含めた、

持続可能な経済モデルを本書で提案しました。

それが『ドーナツ・モデル』です。

『ドーナツ』と聞くと、なんじゃと思ってしまいますが、

その内容は非常に優れています。

今回は、中でも参考になった3つのアイデアをご紹介します。

早速、見ていきましょう!

①現在の経済モデルが見落としている4つのファクター

現代社会の経済活動において、基本の枠組みとなっているのは、

家計、企業、モノ・サービスのフロー循環です。

家計は労働力を提供し、

企業から賃金などを得ます。

企業から家計に渡った賃金は、

企業の提供するモノやサービスを消費するために使われます。

このように、お金は企業と家計の間を循環し、

この循環の規模が拡大することで、つまり、GDPが上昇することで、

世界はより豊かに、より幸福になるというモデルです。

ケイト氏によると、このフロー循環モデルには一つの欠陥があります。

それは、『間違っている』ということです。

同氏曰く、フロー循環モデルは次の主要な4つのファクターを無視してしまっています。

①地球環境への影響

既存の経済モデルは、地球から得られる、

尽きることのないリソースを前提としています。

しかし、実際には行き過ぎた経済活動によって、

そのリソースが枯渇の危機に瀕しています。

②親業

子供のいる大人は、

信じられないほどの時間を、

子供の世話や家庭を円滑に保つ活動に費やしています。

当然、親業も経済に影響するファクターですが、

どのモデルにもこの要素が反映されていません。

結果、シングル・ペアレントの貧困などの、ひずみが生じてしまっています。

③無賃金労働

私たちは社会的動物です。

たとえ金銭的には無報酬であっても、

情緒的な報酬を得られる場合には、

他人のために価値を生む活動に従事する場合があります。

Wikipediaや地域のボランティア活動などが顕著な例です。

④不平等

これまでの経済モデルではGDPの成長によって、

富の再分配が生じ、格差が解消されると信じられてきました。

しかし、実際には、富めるものがさらに富み、

貧しき者はさらに貧しくなっていることが、分かってきました。

フランスの経済学者ピケティ氏が記した『21世紀の資本』が話題になったのは、

膨大な量のデータによって、資本家と労働者の経済的格差を明らかにしたためです。

結論:現在の経済モデルは明らかに限界を迎えており、

アップデートが必要です。

②ドーナツ・モデルが、持続可能な社会を実現する。

古典的な経済モデルでは、見過ごされているファクターを織り込んだ、

21世紀に頼るべき新たな経済モデルとして、

ケイト氏は、ドーナツ・モデルと呼ばれる独自モデルを提示しています。

下記の図をご覧ください。

oughnut-economics-summary-doughnut-model

(Wikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/Doughnut_(economic_model) から引用)

ソーシャル・ファウンデーションと呼ばれる輪は、

人間のニーズが十分に満たされる限界ラインを示しています。

このラインの内側は、

例えば、水や食料、健康、教育などのいずれかが不足した状態を意味します。

一方、エコロジカル・シーリングと呼ばれるサークルは、

プラネタリー・バウンダリー(地球上で人間が安全に生存できる開発限界)を示しています。

この外側は、

海洋の酸化、気候変動、化学汚染などによって、

将来人類が存続できなくなるレベルで、地球を傷つけてしまっている状態を意味しています。

つまり、

経済発展を無視しすぎたり、富の再分配を無視しすぎた場合、

社会は緑色のドーナツより内側の状態に向かい、

人類のニーズを満たすことができなくなります。

一方で、経済発展を野放図に追い求めた場合、

緑色のドーナツより外側の状態に向かい、

環境破壊と人類滅亡を防ぐことができなくなります。

理想は、

ソーシャル・ファウンデーションとエコロジカル・シーリングのバランスがとれた、

緑色のドーナツ部分で経済を循環させていくことです。

この安全なスペースで経済を循環させている限り、

私たちは自分たちのニーズを満たしつつ、

一方で、地球環境も維持していくことができます。

結論:人類のニーズと、地球のニーズを、

いい塩梅な経済活動で満たすことが、

ドーナツ・モデルの目的です。

③再利用を推進せよ!

ここで、具体的にはどうやってドーナツ・モデルを実現するのか?

という話になります。

『サーキュラー・エコノミー(循環型経済)』

という言葉が流行っているように、

製品やモノ・サービスを再利用することが、偉大な出発点となる、

とケイト氏は述べています。

既に、各国で再利用の取り組みは広がっており、 次のような事例があります。

・サンフランシスコではコンポストの利用が義務付けられている。

・アルゼンチンでは、ゴミをアートに変える運動が起こっている。

・ドイツでは企業のBMWも、自社の車をリサイクルしている。

他にも、優秀な科学者たちが、

持続可能なエネルギーの創出のため、

廃棄物を使った発電などの研究を進めていたり、

オランダでは、

2050年までにドーナツ・モデルを基本とした、

完全循環型都市の実現を政策目標としていたりします。

結論:『再利用』がドーナツ・モデルの出発点です。

実際のところ私たち個人に取れる行動は非常に小さなモノですが、

小さな活動の集積な大きなモメンタムを形成します。

まずは、できる限りの資源再利用を進めて行きましょう!

まとめ

まとめになりますが、本書は、

旧来型の経済モデルの欠陥を指摘し、

21世紀に指針にすべき、新たな経済モデルを、

非常に分かりやすいシンプルなモデルで提案している書籍です。

今回ご紹介した内容の他にも、

・現行の経済モデルができた時の最初のコンセプトとは?

・人間の振る舞いに関する、経済学者達の根本的な誤りとは?

・なぜ鶏が市場をより良い観点で捉える助けとなるのか?

・なぜ、GDPが経済学の成功を表さない指標となってしまったのか?

など、非常に興味深い論考で詰まっています。

万が一、あなたが今、

「GDPの成長だけを追い求める社会に疑問がある。」

「どうすれば、より調和のある社会になるのか?」

といった疑問を持たれている場合、

ぜひご一読されることをオススメいたします。

題名こそ、ファンシーなものになっていますが、

現代の課題を適切に捉え、思慮深い提案がなされている一冊だと思います。

翻訳版を読んでみる。

  • この記事を書いた人

Ken

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