こんにちは!Kenです。
本日もちょっとだけ日々を豊かにする、『厳選ビジネス洋書』をご紹介していきます。
突然ですが、皆さんは、
自分の意思決定に自信がありますか?
私たち人間は、人生において難しい意思決定をいくつも重ねていかなければなりません。
例えば、
- どんな学校に通うべきか?
- どんなキャリアを積んでいくべきか?
- どの仕事のオファーを受けるべきか?
などです。
しかし、ここで残酷な真実をみなさんにシェアしておきます。
これらの難しい選択を目の前にすると、
多くの人が誤った選択をしてしまい、後悔しているということです。
アメリカ法曹協会のとった統計によると、
司法試験に合格し、弁護士になった方の44%は、
若者に弁護士になることを勧めていません。
また、フィラデルフィアでは、
教員がドロップアウトする確率は、
生徒がドロップアウトする確率の約2倍となっています。
このような意思決定の後悔を避けるために、
私たちには、意思決定の落とし穴を知っておく必要があります。
今回ご紹介する『DECISIVE:How to Make Better Choices in Life and Work』では、
著者のChip ,Dan Heath氏が、避けるべき3つのワナについて教えてくれます。
Contents
良質な意思決定を妨げる3つのワナとは?
1. 私たちは2択で物事を考えてしまう。
1993年、オハイオ州立大学の研究者、ポール・ナット氏は、
大企業経営者達の168件にも及ぶ意思決定について分析しました。
その結果、なんと69%の意思決定が、2択の形式で行われていたのです。
この2択の意思決定は、52%の確率で好ましくない結果を招いていました。
一方で、3つ以上の選択肢の中から意思決定した際には、約70%の確率で好ましい結果が出ていました。
2択で決断しようとしている時というのは、
すなわち、視野が狭い状態なのです。
2. 短期的な感情で意思決定をしてしまうこと。
少しだけ時間をとって、
自分がとった決断で後悔していることを思い出してみてください。
ひょっとして、短期的な欲求に負けてしまったケースではないでしょうか?
私たちには皆、長期的な価値よりも短期的な満足を求める自然の欲求があり、
その声に従うと、長期的には失敗する確率が高いのです。
3. これは間違いないという間違った直感を持ってしまうこと。
ある研究では、医者が診断について100%間違いないと思っている時には、
40%の確率でその診断は間違っているという結果が出ています。
また、もう一つの研究では、
大学生が99%の確率で確かだと思っている事実は、
その事実が誤っている確率は27%だったとされています。
100%正しいと思うとき、人間は知らず知らずのうちに、
自分の直感に反する事実に目を瞑ってしまいます。
これを心理学では正常性バイアスと呼びます。
間違いない!と思っている時ほど、間違っている可能性が高いのです。
私たちが後悔のない人生を送れるかどうかは、
以上のような意思決定の落とし穴について理解し、
これらに落ちないような技術が必要です。
ここからは、私が本書を読んで、非常に勉強になった、
意思決定のワナにハマらないようにするための4つの技術について紹介します。
意思決定のワナにハマらないようにするための4つの技術。
1. どうすれば選択肢を広げられるだろうか? と考える。
仮にあなたアラジンの世界に存在し、
魔法のランプを手にしたと仮定します。
いざ望みを叶えようとランプを擦ったら、
普通のジーニーではなく、デビルジーニーが出てきて、
現在持っている全ての望みの実現が却下されてしまったとします。
では、あなたがそれから望むことはなんでしょうか?
これを著者らは『Vanishing Option Test』と呼んでいます。
現在の選択肢を一旦全部不可能として考えてみることで、
今まで見えていなかった選択肢を掘り起こすことができます。
数年前、
サンダース氏という、ある大学院の学長が、
難しい局面にいました。
アナという従業員のパフォーマンスが悪く、
クビにするかどうか決めなければならなかったのです。
このアナさんは非常にシャイで、
窓口業務を行うには、あまりにもコミュニケーション下手でした。
しかし、アナさんは窓口業務以外の事務仕事は非常によくこなしていました。
サンダース氏は、
アナさんをクビにするか、
あるいは、そのシャイさを我慢して雇い続けるか
以上の2択で迷っていたのです。
そこで、幸運にも本書著者のダン・ヒース氏が、サンダース氏と話をする機会がありました。
ダン氏はサンダース氏に、
「仮にアナをクビにすることも、シャイさを我慢することも永久にできないとしたら、あなたはどうしますか?」
と尋ねました。
つまり既存の選択肢(2択)をなくし、
サンダース氏を強制的に新しい選択肢を導きださざるをえない状況に置いたのです。
結果、サンダース氏は、
アナさんには窓口業務から離れてて事務に専念してもらい、
その代わりに他の常勤のスタッフに1時間交代で窓口を担当させ、
足りない時間は非常勤の学生スタッフを雇う。
という解決策を思いつくことができました。
結論:現在目の前にある選択肢が全て取れない状況を仮定することで、(Vanising Option Test)強制的に視野を広げ、選択肢を増やしましょう。
2. どうすれば短期的な感情から距離をとることができるだろうか?
2つの求人が目の前にあると仮定します。
仕事Aはあなたが長年準備してきた仕事で、
社会的地位も高く、高給をもらると分かっています。
仕事Bはあなたが長年興味を惹かれてきた、
社会的地位はそれほど高くはなく、
もらえるお金も少ないけれど、
働いている時間はずっと充実感を感じられそうだと分かっている仕事です。
あなたはどちらを選択するでしょうか?
ラウラ・クレイ氏とリチャード・ゴンザレス氏の研究で、
学生達にどちらの仕事を選択するかと尋ねたところ、
66%が仕事Bを選択しました。
しかし、
「親友にアドバイスをするとしたら、どちらの仕事を選択するようにと伝えますか?」
と質問したところ、なんと、
83%が仕事Bを勧めたのです。
以上から、
「親友にアドバイスをするなら、どちらの選択肢を勧めるか?」
この質問によって、自分がとるべき選択を明確にすることができると分かります。
なぜか?
それは自分の短期的な感情から距離を置くことができるからです。
1985年、インテルの会長、アンディ・グローブ氏は、
難しいビジネス上の意思決定をするために、同様な技術を利用しました。
インテルは、当時メモリとマイクロプロセッサーの2つのメイン事業を持っていましたが、
メモリビジネスに関しては、
日本企業が市場に参入してきて、
非常に厳しい状況になっていました。
グローブ氏はどんな決断が必要かはっきりさせられなかったため、
次の簡単な質問をCEOのゴードン・ムーア氏に尋ねました。
「もし、我々が退き、新たなCEOを迎えるとしたら、彼は何をするだろうか?」
するとムーア氏は、すかさず、
「彼はメモリビジネスから撤退するでしょう。」
と回答しました。
「自分達の代役なら何をするだろうか?」
というシンプルな質問によって、
グローブ氏とムーア氏は感情から距離をおき、
将来のないメモリビジネスを売却するという賢い意思決定ができたのです。
結論:短期的な感情から距離を置き、長期的な価値を得るために、
「同じ状況にいる親友にアドバイスをするなら、どの選択肢を勧めるか?」
「自分達の代役なら何をするだろうか?」
というシンプルな問いを活用しましょう。
3. どうすれば仮説を実行前にテストできるだろうか?
あなたが自動車を買いたいとして、
どの車を買うか調査を始めたとします。
まず2種類の自動車が選択肢になりましたが、
『Vanishing Option Test』によって、
さらに2種類の自動車が見えてきました。
次に、あなたは『短期的な感情から距離を置く』ことで、
長期的には後悔するであろうスポーツカーの選択肢を消すことができました。
メンテナンスに費用がかかりすぎますし、
サイズも実用的ではないからです。
あなたは残った3つの選択肢の中から、1つの車に目星をつけ、
燃費が良く、外装もしっかりして、
購入の際の保証内容も完璧だったため、
これが正しい選択だと確信します。
では、あなたは早速その車を購入するでしょうか?
おそらく、その前に『試乗』すると思います。
万が一30分運転しただけで、腰が痛くなるようなシートだったら?
あなたが最も車を運転する高速道路で非常に音がうるさくなるとしたら?
意識的にか、無意識的にか、車を買うときには、
私たちは、事前に自分の仮説が正しいか必ずテストをしています。
同様に、他のいかなる大きな意思決定の際にも、テストをするのが賢明です。
もし、ロー・スクールに通いたいと思ったら、
法律家の職場を見学しに行き、実際に働いている姿、
生活している姿を観察しましょう。
もし、新しい土地に引っ越すとしたら、
ネットの評価や、友人からのオススメでは決して決断してはいけません。
2週間の休暇を取得し、その土地であたかも実際生活しているかのように、時間を過ごしましょう。
結論:大きな決断をする前には、小さくテストすることで、見えていなかった落とし穴に気づくことができます。
4. 最悪の結果が出るとすれば、どのように備えればいいだろうか?
人生、一寸先は闇です。
未来に何が起きるかは誰にも予想できません。
だからこそ、私たちは意思決定のもたらす最悪の結果まで想定し、
保険をかけておく必要があります。
不安になりすぎる必要はないと思いますが、
再起不能なダメージをくらうことは何としても避けましょう。
結論:意思決定のもたらす最悪のシナリオを想定し、対策を打ちましょう。
まとめ
次にあなたが重要な意思決定をする際には、
既存の選択肢が一切不可能だと仮定して、選択肢を広げ、
親友にアドバイスするなら、あるいは、
自分の代役ならどうするかと仮定して感情から距離を取り、
小さな実験をして、仮説が当たっているかテストしましょう。
そして、確信を持てそうになっても尚、
万が一最悪の結果になるとしたらどんな結果になり、
どのような保険をかけておけるかまで考え尽くしましょう。
以上が、私がDECISIVEを読んで特に感銘を受けた点です。
良い決断には、やはり労力がかかりますね、、、
本書には、他にも良質な意思決定の役に立つ多くのテクニックが記載されています。
万が一、あなたが今、
「自分の決断に自信がない。」
「後悔することが多い。」
という課題をお持ちの場合、ぜひご一読されることをオススメいたします。
役に立つ人生の知恵が必ず見つかるはずです。