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なぜクソどうでもいい仕事は無くならないのか?

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なぜクソどうでもいい仕事は無くならないのか?

こんにちは!Kenです。

本日もちょっとだけ日々を豊かにする、『厳選ビジネス洋書』をご紹介していきます。

今回ご紹介するのは、David Graeber著

『Bullshit Jobs : A Theory』 です。

本書は、

現在、5人に2人の人が、

無意味な仕事をすることでの、

精神的ダメージに苦しんでいる。

というデータを起点に、

『なぜ、クソどうでもいい仕事が蔓延してしまっているのか?』

について考察しています。

昔から、自動化やロボティクスなどの近代技術が、

数えきれないほどの仕事を不要にする、

と、言われ続けてきました。

実際に本書を読んで浮かび上がってくる、

ホワイトカラー職の実態を見ると、

エコノミスト、ジョン・メイナード・ケインズがかつて予想した、

週15時間労働の世界は、

21世紀の本当の姿なのではないか?

そんな風に思えてきます。

著者が引用したレポートによると、

1910年から2000年の間に、

農業や家事に専業で従事する人の数は、

激減したことがわかります。

一方同期間に、

管理職、

事務職、

サービス職などに従事する人の数は、

なんと3倍になり、

現在、米国の国民が従事する職業のうち、

75%が、これらの仕事になっています。

では、これらの仕事は現在でも、必要なのでしょうか?

結論から言うと、

ほとんどがクソどうでもいい仕事だ。

と著者は述べています。

実際には、

政治、モラル、宗教などの要素が、

私たちを、クソどうでもいい仕事をするように、

押さえつけているのだと言います。

非常に、極端な意見ですが、面白いと思いませんか(笑)

今回ご紹介する本書のポイントは次の3つです。

①クソどうでもいい仕事は、意義の欠如で人を不幸にする。

②クソどうでもいい仕事の増加で得をする人は誰か?

③ユニバーサルベーシックインカムが人をクソどうでもいい仕事から解放する。

では、早速見ていきましょう。

①ブルシットジョブはその意義のなさで人を不幸にする。

『Bullshit Jobs』 (クソどうでもいい仕事)と聞くと、すぐに思いつくのが、

様々な詐欺的テクニックを利用して、

成約を図ろうとするセールスマンです。

以前、かんぽ生命のセールスマンが厳しいノルマを達成するために、

顧客に必要のない保険商品を何度も売買させて、

元本を毀損していたことが判明し、

問題となりました。

人口減時代、作れば売れていた過去を踏襲して、

無理なノルマを強引に達成しようとすると営業マンは、

「1日に何人の人を騙せたか?」

という日々を送ることになってしまうのだと思います。

これは言い訳の余地なく、ブルシットジョブでしょう。

おそらく、セールスマンの方は、

それをしたくてやっているのではないと思います。

学生時代に上下関係について厳しく教わり、

上司の言うことは絶対と、権威に無思考で従属してしまう人材を育成する、

社会構造が問題なのだと思います。

セールスマンたちを苦しめるのは、罪悪感だけではなく、 「意義の欠如」 です。

日々の生活費を稼ぐ以外に仕事をしている意味が見出せないことほど、しんどいことはないと思います。

また本書では、クソどうでいい仕事の5類型が紹介されています。

1. 取り巻き (flunkies):

だれかを偉そうにみせたり、
偉そうな気分を味わわせたりするためだけに存在している仕事。

2. 脅し屋 (goons):

雇用主のために他人を脅したり欺いたりする要素をもち、
そのことに意味が感じられない仕事。

3. 尻ぬぐい (duct tapers):

組織のなかの存在してはならない欠陥を取り繕うためだけに存在している仕事。

4. 書類穴埋め人 (box tickers):

組織が実際にはやっていないことを、
やっていると主張するために存在している仕事。

5. タスクマスター (taskmasters):

他人に仕事を割り当てるためだけに存在し、

ブルシット・ジョブをつくりだす仕事。

 

先述のセールスマンは、 「脅し屋」 に類し、

セールスマンの上司は、 「タスクマスター」 に類するでしょう。

本書の統計によると、

約4分の1のアメリカ人が、

自分は上記の5類型のどれかに属していて、

自分の仕事に意味はないと感じているそうです。

そして、この意義無き仕事が、現代病である、ストレスや鬱の原因となっています。

なぜ、意義なき仕事に従事する人がこんなにも増えてしまったのでしょうか?

②ブルシットジョブの増加で得をするのは誰か?

本書の結論は、

1%の支配者層 です。

本来の経済原則に従えば、無駄は排除すべきであり、

クソどうでもいい仕事など存在できないはずです。

それなのになぜ、存在するのか?

それは、

『一生懸命に長時間働くことが尊いこと。』

というコンセンサス(宗教)があることで、

ぐったり疲れた国民は、

現在の政治や経済のシステムが良いものなのかどうかなど考える余地がなくなり、

ストライキや、政治的闘争を起こさなくなるためです。

また、支配者層のメリット以外にも、国民にとってもメリットがありました。

それは、長時間労働が心の支えになることです。

西洋ではプロテスタントによって、一生懸命に働くことで魂が救われるという価値観が広められました。

また、日本においても、

戦時下において国のためにと死んでくれる人材の必要性、

戦後の工業立国のために、文句を言わずに働いてくれる人材の必要性から、

学習指導要領が編纂され、

愚直にひたむきに人生を賭けて努力をする人は尊いという価値観の形成を実現しました。

私もロジックでは、

ヒトはエネルギーを吸収し続けている間だけ、

活動を継続できる個々の細胞の集積にすぎず、

その活動の対象によって、尊い、卑しいなんてのは、

ただの宗教に過ぎないと分かりますが、

今もなお残る、強烈な努力信仰・勤勉信仰の後遺症により、

実際のところ社会を良好に維持するには、週15時間の労働で良くなっているにも関わらず、

クソどうでもいい仕事によって週40〜80時間労働までなんとかかさ増しすることで、

人間としての尊厳を守ろうとしてしまいます。

この仕事もその一種かもしれません。

本来なら、コロナ期間でその重要性が明らかになったエッセンシャルワーカーの仕事こそ、

最高の賃金を得て、最高の賞賛を受けるべきですが、

残念ながら、クソどうでもいい仕事を積み重ね、

クソどうでもいい仕事の頂点に立った人が、

例えば、金融業界などで頂点に立った人が、

なんやかんやで最も高い賃金を受けられる状況になってしまっています。

本書では、

著名な銀行に、コンサルタントとして雇用されたシモン氏のストーリーが紹介されています。

シモン氏は、システムエラーに関係するセキュリティリスクを修正するためのソフトウェアを創り出しました。

彼が、銀行の頭取と取締役25人にソフトウェアをプレゼンしたところ、

銀行からの反応は非常に好ましくないものでした。

なぜか?

それは、シモンさんのプログラムあまりにも効率的すぎて、

取締役会の人々のほとんどに代替しうるものだったからです。

25人の取締役(おべっか使い、取り巻き)のいないCEOは、さほど重要そうな人物には感じません。

江戸時代で言うところの、家臣のいない殿様みたいなものです。

取り巻きによって、その権威を保っていたのに、

取り巻きがいないと、重要な人物っぽく見えなくなってしまうのです。

では、どうすれば、ブルシットジョブをもっと効率的に無くしていくことができるでしょうか?

結論から述べると、

国民に最低限の生活を保障する仕組みを作ることです。

本書では、今では有名になったユニバーサル・ベーシックインカムの導入を提言しています。

③従業員と雇用主は、ユニバーサル・ベーシックインカムによって力関係が逆転する。

最低限の生活に関する、経済的保障があれば、ブルシットジョブから離れられるようになるのではないか?

この仮説から生まれたのが、

ユニバーサル・ベーシック・インカムと呼ばれている政策で、

そのアイデアは、全ての成人に、

現在の経済的状況に関わらず、

基本的な生活費をまかなえる資金を配布すると言うものです。

このインカムは、機械やAIで自動化によって、

人がいなくても稼げるようになった企業に課せられる税金で賄われます。

このベーシック・インカムが解決するのは、

経済的に不安だから、クソどうでもいい仕事をやめられないという現実です。

もし、最低限の生活資金が無条件に保障されていれば、

お金のために馬鹿げたタスクなんてしなくても良くなります。

結果、個人はより意義を感じることに時間を使えるようになるのです。

では、生きるために働く必要がなくなったら、人は何をするのでしょうか?

きっと、

支援学校で教職の仕事についたり、

料理人になったり、

好きなスポーツで一流になるという夢を追ったり、

その他、自分の価値観に沿った活動に、どんどん挑戦することになると思います。

この時、資本家と労働者のパワーバランスは逆転します。

資本家は資本を持っていたとしても、

労働者に働いてもらえるだけの、意義を説くことができなければ、

人を集めることができなくなります。

逆に、真に意義のある活動だと語ることでしか、

自己実現欲求を満たしたい労働者を集めることができなくなります。

ここで、本当に必要な仕事だけど人気のない仕事はどうするのだという考えが浮かびます。

まず第一に需要と供給のバランスを取るために、

そういった仕事の賃金は人を集められるところまで向上するでしょう。

あくまでも、ベーシックインカムは最低限のお金だからです。

もしくは、

それでも人が集まらなければ、機械化、自動化が急速に進められていくでしょう。

仕事に対する価値観は、現在のお金のための労働 から、

自己実現のための貢献 に劇的に変化していきます。

ここで、

「おいおい、そんな上手くいくかよ。」

「無条件に金を配ったら人間は堕落する。」

という批判が考えられます。

特に、我慢に我慢を重ねることで、

現在の豊かな社会を築き上げてきた年配の方ほど、

ベーシック・インカムなんてけしからんと思うかもしれません。

ここからは私個人の意見ですが、

日本人がベーシック・インカムを配られたとして、

本当に怠惰になるのでしょうか?

私は、それはないと思います。

人間には程度の差こそあれ人に認められたいという欲求があり、

働かなければ、それが満たされないからです。

ベーシック・インカムを配布することで、

むしろ、いやいや仕事ではなく、

誰かのために仕事を心から一生懸命に行う人が増えるのではないかと思います。

そして一方で、無意味な労働をしている自分への漠然とした不安や、

将来の経済的不安から、精神的ダウンサイドに直面してしまう人を減らせるのではないかと思います。

まとめ

まとめになりますが、本書は、

現代社会の抱える、『無駄な仕事』 の問題を、

多くの研究データを利用して、論証している書籍になります。

私は本書を読んで、いずれ、多くの日本人が 『生きがい=仕事』 という価値観について、

修正を迫られるのではないかと感じました。

万が一、あなたが今、

一日のほぼ全ての時間を仕事に費やしていて、

そのほとんどがクソどうでもいい仕事だと感じているのであれば、

ぜひ、本書をご一読ください。

そもそも自分が現在信じている労働観念はどこから生まれたのか、

その源泉を辿り、すべてはフィクションに過ぎないと分かると、

少しだけ、気が楽になるかもしれません。

翻訳版を読んでみる。

  • この記事を書いた人

Ken

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